- HOME>
- ドクターズインタビュー
「凌駕クリニック 樋上本院」を開設された経緯は?
interview
私は長年、心臓外科医として主に国公立病院や大学病院で勤務し、「患者様を受け入れる側」として診療を行っておりました。そうした立場から、常々、一般的なクリニックとは一線を画す「高度な診断能力」を持つクリニックの必要性を感じておりました。
大学病院に患者様が辿り着くまでには、多くのクリニックや医師を経由し、時間を要することが少なくありません。その原因の1つは、かかりつけ医の診断力不足にあると言えます。専門外だからと別のクリニックに紹介され、またそこでも専門外と言われ、転々とする。そうして辿り着いた大学病院で、ようやく診断が確定し、治療が始まる。こうした状況を、数多く目の当たりにしてきました。
そのため社会福祉法人三桂会の理事長に就任し、医療部門を立ち上げるにあたって、高度な診断能力を有した「凌駕クリニック 樋上本院」を開設した次第です。
当院の役割は、救急医療における「トリアージ(診療の優先順位づけ)」に似ています。初診の段階できちんとトリアージができなければ、後手に回ってしまいます。だからこそ、ファーストタッチの時点で的確なトリアージを行うことを重要視しております。
「凌駕クリニック 樋上本院」ではどんな診療を?
interview
当院は、循環器内科と呼吸器内科を軸としながらも、内科全般から外科まで幅広い診療科を備えています。加えて各分野のスペシャリストが在籍し、「大学病院の外来部門」に相当する体制を整えています。
私自身、「ナンバー外科(※)」と呼ばれる診療科で長年勤務してきた経験があります。ナンバー外科では循環器、呼吸器、消化器、脳外科など、幅広い領域を扱います。そこで主宰する立場にあったため、各領域のカンファレンスにも参加し、総合内科的な知識や総合医療的な視点も身に付けることができました。また、救急医療の経験も豊富にあります。こうした経験を活かし、当院では脳神経外科や耳鼻咽喉科、婦人科などの一部の専門領域を除き、ほとんどの分野で的確な診査・診断・治療が可能な体制を整えました。脳神経外科の領域に関しても、外部から専門医を招いておりますので、専門性の高い診療が行える体制にあります。
※ナンバー外科…大学病院や総合病院の外科診療科に付けられる「第一」「第二」などの番号のことを指す。
1990年代後半から、大学病院や総合病院ではナンバー外科が廃止され、臓器別・疾患別の診療体制に移行
社会福祉法人では介護事業も展開されている?
interview
はい。特別養護老人ホーム、グループホーム、訪問看護ステーションなどの幅広い介護事業を展開しています。当院を開設したのは、地域住民の方々への医療提供に加えて、こうした施設の利用者様・入居者様への健康管理と医療連携の強化のためでもあります。
施設の利用者様・入居者様、特に介護施設の入居者様は様々な病気を抱えていることが多く、かつ足腰が悪かったり、お体が不自由だったりして、クリニックへの受診が難しい状況にあります。そこで往診・訪問診療が行われるわけですが、十分な診断機器がない中で状態を判断しなければいけませんし、何か問題が見つかった際には、結局は近隣のクリニックで診てもらわなければいけませんし、そこで適切な診断が行われるとは限りません。そこで「まずは当院で、利用者様・入居者様の診断を行おう」と考えたのです。
当院が有する高度な診断能力を活かすことで、利用者様・入居者様が必要とする医療はどのくらいのレベルなのか、入院が必要なのか、そうではないのかを適切に見極め、無用な負担をかけることなく適切な医療へとお繋ぎすることができます。
生活習慣病の背景まで深く評価
「未病の段階」から適切に対処
「凌駕クリニック 樋上本院」の診療の特徴は?
interview
当院の特徴は、その診断能力の高さにあります。そしてその診断能力を支える各分野のスペシャリストの存在、CTなどの検査機器の充実が特徴として挙げられます。加えて、各外来の専門性の高さも他のクリニックにはない特徴と言えるでしょう。
例えば循環器内科であれば、外科手術やカテーテル治療が必要な場合を除き、ほとんどの治療を外来で完結させることが可能です。先ほど「大学病院の外来部門に相当する体制」と言いましたが、本当に入院が必要なケースを除き、当院で対応できる診療体制を構築しています。
そして病院への紹介が必要となった場合でも、丸投げはいたしません。私が紹介を受ける立場で学んだことを活かし、患者様の症状に応じて最適な治療が可能な医療機関をダイレクトにご紹介します。スムーズに適切な診断と治療を受けられることこそ、患者様にとって何より大切だと考えているからです。
一般的な内科疾患への対応は?
interview
当院では、生活習慣病をはじめとする一般的な内科疾患への診療にも力を入れています。特に生活習慣病の治療では、単に表面的な数値だけではなく、その背景にある病態まで深く評価するように心がけています。
例えば高血圧や糖尿病は、放置すれば心筋梗塞や脳卒中などの重篤な合併症を引き起こす恐れがあります。なので当院では心臓や脳血管など全身の状態を詳しく
チェックし、病気の進行度を正確に把握した上で治療方針を立てています。
また血管の硬さを測定するABI(足関節上腕血圧比)/ PWV(脈波伝播速度)といった検査も積極的に行い、動脈硬化のリスクを評価しています。必要に応じて冠動脈CTなども撮影し、隠れたリスク因子を見落とさないよう努めています。
生活習慣病の治療で大切に考えていることは?
interview
例えば糖尿病への治療の場合、単に血糖値を下げるだけではなく、血管の状態や臓器への影響など、体全体を評価した上で治療方針を決定することが重要です。血管の傷み具合や動脈硬化の進展具合を評価することは、「未病の予防」に繋がります。つまり、重篤な合併症の発症が防げるようになるということです。
生活習慣病への治療の過程において、「未病の部分」というのはたくさんあり、それをいかに見逃さずに発見するか、未病の段階で抑えておくかが大事なのです。
しかし、残念ながら多くの患者様が「ただの生活習慣病」と軽視しがちです。またクリニックにしても、このような深い理解と観察に基づいて治療を行っているところは、あまり多くはありません。
当院では生活習慣病においても、専門知識を活かした質の高い診療を行っています。単なる対症療法ではなく、患者様お一人おひとりの状態に合わせたオーダーメイドな治療を提供しています。
患者様との「信頼関係」を何より大切に
一人ひとりに寄り添い、最適な医療を
患者様と接する時に心がけていることは?
interview
心臓血管外科の専門医として長年、命を預かる最前線で診療してきた経験から、患者様との信頼関係の重要性を痛感しています。それは地域のクリニックでの診療においても同じです。
患者様のお話をよく聞き、病状や必要な治療について丁寧に説明することで、患者様の安心感は格段に高まります。これは、1日に50人も60人も診察する大病院の外来では難しいことです。当院では、特に初診の患者様には、できる限り時間をかけ、じっくりとお話をおうかがいするように心がけています。
人間ドック・健康診断にも非常に力を入れている?
interview
私が長年携わってきた心臓外科や脳外科の領域では、突然死が起こるリスクが高く、事前の検査やケアによる予防が非常に重要です。しかし、「突然死をどう予防するか?」というアプローチに取り組んでいるクリニックは少ないのが現状です。
そこで当院では、「突然死の予防」をコンセプトに、高度な診断能力を活かした人間ドック・健康診断を提供しています。単なる検査データの通知にとどまらず、病気の兆候を見逃さず、必要な対策を講じていく。それが当院の人間ドック・健康診断の特徴です。
「凌駕クリニック 樋上本院」の理念は?
interview
患者様に寄り添い、最適な医療を提供することを何より大切にしています。先進的かつ高性能な医療設備を整えるのはもちろん、患者様の心のケアや生活のサポートにも細心の注意を払います。患者様を理解し、その方にとって最良の環境を整えられる、そんなクリニックを目指しています。
治療効果の高さに魅力を感じ今の専門へ
医師は科学者であり「創造者」でもある
心臓血管外科や循環器内科を専門としたのは?
interview
私が循環器内科や心臓血管外科を専門としたのは、何よりも治療の結果がはっきりと目に見えること、そしてその治療効果の高さに魅力を感じたからです。
心臓の手術は、患者様の命に直結する重要なものです。術後、回復された患者様が笑顔で退院されていく姿を見るたびに、この道を選んで良かったと実感しています。
また、新しい治療方法や医療機器の開発にも積極的に取り組んできました。それにより救える命がある。そんな使命感が、私の原動力となっています。
そもそも医師を目指したきっかけは?
interview
私は当初、建築家を目指していました。ものづくりが好きで、自らの手で形あるものを創り上げることに魅力を感じていたのです。
しかし高校生の時、ある講演会で「医師は科学者(サイエンティスト)であり、創造者(クリエイター)である」という言葉に感銘を受けました。医療の世界でも、自らの知識と技術を駆使して新たな何かを生み出せる。そのことに気づかされ、医師の道を志すようになったのです。
医師として創造性を発揮できる瞬間とは?
interview
私が駆け出しの頃は、心臓疾患に対する治療方法は今ほど確立されておらず、なかなか思うような成果が得られないこともありました。しかしそんな中でも、「ここをこうすればもっと良くなるのでは?」といったアイデアが日々生まれてきました。そうしたアイデアを1つずつ形にし、新しい手技や医療機器を開発してきたのです。その甲斐あって、私が開発に携わった医療機器は10種類近くに上り、手技も10種類ほど確立してきました。
私たち医師にとって最も大切なのは、患者様の「たった1つの命」をどうやって最高の状態で救うかということ。そして単に命を救うだけでなく、その後のQOL(生活の質)を確保することが重要なのです。
手術が成功しても、その後、寝たきりの状態では本当の意味で患者様のQOLを高めたとは言えません。ですから私は「この手術で何年もつ」といった発想ではなく、その方の一生を見据えた最善の治療を心がけています。
新しい治療方法や医療機器の開発に携わるのも、ひとえに患者様のQOLを高めるためです。医師である以上、常により良い医療を求めて、日々研鑽を重ねていく。それこそが私の使命であり、医師としての創造性(クリエイティビティ)の源泉なのです。
地域の「心強いかかりつけ医」として
皆様の健康を守り続ける
「凌駕クリニック 樋上本院」の今後の展望は?
interview
今後、当院が「大学病院の外来部門」に相当するクリニックとしてさらなる機能を果たすためには、救急医療への対応も視野に入れるべきだと考えています。
例えば、入院の必要がない比較的軽度の救急患者様を受け入れることができれば、遠方の病院に搬送しなくても済むようになります。それは救急隊にとっても大きなメリットになるはずです。もちろん、入院が必要な重症患者様は速やかに専門の医療機関に搬送することが大切ですが、救急隊の方々はそうした判断が的確にできます。
このように地域医療に貢献し、救急病院の負担を軽減することも、当院の重要な使命の1つだと考えています。
最後に、ホームページをご覧の方へ
メッセージをお願いします
interview
当院は、地域に根差し、患者様に寄り添う「心強いかかりつけ医」を目指しています。どのようなお悩みでも、まずは一度当院へご相談ください。
患者様との信頼関係を何より大切にしており、お一人おひとりに十分な時間を取って向き合います。そして何よりも、患者様の「笑顔」を何より大切にしたいと考えています。
これからも私たちは、地域の皆様の健康を守るという使命のもと、日々の診療に全力で取り組んで参りますので、気になる症状がございましたらお気軽にご相談ください。